Monsoon Town
「――ひまわり!」

叫ぶようなその声に、ひまわりは目を開けた。

目の前にいるのは、心配そうな顔の陣内だった。

「――陣内さん…」

声が震えているのは、まだ恐怖が残っているからである。

もう見ないと思っていたのに…。

これから先、一生見ることはないと思っていたのに…。

「ひまわり、大丈夫か?」

優しい眼差しで、陣内が名前を呼んだ。

闇の中に、一筋の光が見えたような気がした。

「ひまわり?」

陣内が驚いたのも、無理はなかった。
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