Monsoon Town
両親に捨てられて、親戚をたらい回しにされた末に、施設に預けられた。

そこに愛なんて、カケラもなかった。

そんな寂しい中で出会ったのが、彼女だった。

両親を交通事故で亡くして、自分と同じ時期に彼女は施設にやってきた。

同い年で、似たような境遇だった自分たちは、ぐに仲良くなった。

彼女はいつも明るくて笑顔が絶えなかったうえに、人懐っこい性格をしていた。

そんな彼女と恋人同士になっても、彼女は常に笑顔を絶やさなかった。

誰とでも仲良くなる彼女に、いつしか独占欲を覚えた。

自分だけを見ていればいい。

自分だけを愛していればいい。

その思いは、日に日にエスカレートして行った。
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