Monsoon Town
自宅の小さな部屋に彼女を監禁したのは、6月の中頃だっただろうか?

彼女は今にも泣きそうな顔で自分を怖がっていた。

与えた食事も食べてくれなかった。

少し食べることはあったけれど、すぐに吐き出した。

監禁してから1週間が経った日のことだった。

自分が目を離した隙をついて、彼女が逃げ出した。

「捜索届を警察に出さなかったのは、自分が彼女にした行いがバレると思ったからだった。

そう思ったお前は、自分の手で彼女を探した」

探しても、彼女は見つからなかった。

通っていた大学、育った施設、彼女のバイト先であるファミリーレストラン、彼女の知りあい――心当たりのあるところから、何もかも全て探した。
< 392 / 433 >

この作品をシェア

pagetop