恋して、チェリー
こんな考えでいっぱいになってしまったあたしは、
効力はないと分かっていても
「あたしのことなんか、まったく知らないくせに……っ」
――勝手なこと言わないで!
キッと睨みつけたまま、言葉の爆弾もお見舞いした。
――それが、このチャラ男子たちの怒りのスイッチになるとも知らずに。
ギロリ、見下ろす視線が怒りを含んだモノに変わった時。
「言ってくれんじゃん」
「素直なのは、体だけかよ?」
逃げ出す準備は万端だったハズなのに、足が竦んで。
さっき力を入れられた足首にも、思うように動かなくなっていて。
「や、だぁ……っ」
すばやくあたしの後ろに回り込んだのは、ガムを噛んでいる方。
手首を後ろで羽交い責めにされてしまった。
「結構キレイな足してんじゃん」
イスに座らされたあたしの太もも辺りに視線を滑らすのは、さっきあたしが手を振り払った方で。
しゃがんで、じっとりと湿った視線が、スカートから剥き出された足を這い回る。
「離し、…てよ…っ…!」
そう、あたしが暴れた時だった。
机の上のケータイが、一本の直線を描くように滑っていって。
――カシャ、ン……ッ。
どこか小刻みいい音を放ち落下。