【完】甘いカラダ苦いココロ

 颯太と騒ぐ女たちを無視して立ち上がる。

「教室行こうぜ。次の現国、当たる」

 教室の前では噂の春菜が待ち構えてた。

「げ」

「げって何よ!? 翔梧昨日も先に帰ったでしょ? 約束してたのにっ」

 春菜は美少女コンテストに優勝するくらい見た目がいい。同小・同中。中学の時からずるずるヤったり遊んだり。
気づいたら「彼女」ってことになってた。俺も下手な女に煩わされることも減るという利点からあまり気にしてなかった。今までは……。

 絶妙なタイミングで予鈴がなる。

「あ、授業始まる。じゃあな春菜」

「もう、翔梧!」

 耳を塞いで席についた。春菜には悪いけど……。沙耶と出会ってから、なぜか他の女と遊ぶのが面倒になってきた。

――沙耶とセックスすると、他はどうでもよくなるんだよな……。

 現国の教科書を出しながら不謹慎にほくそえむ。

「あっ! 翔梧今、やらしい顔したな。さては……」

……颯太、うるせぇよ。

 前の席に座る颯太の椅子を蹴った。


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