忠臣蔵外伝 〜元禄恋物語〜
それから、しばらく善兵衛さんと話していた。
この店がここに出来た理由や、九十郎さんとは昔からの知り合いだとか、色々な話が聞けて、九十郎さんに少し近づけた気がした。
もちろん、あたし達の話もした。
あたし達は幼い頃から親同士も仲が良いとか、お花ちゃんの妹たちはお花ちゃんにそっくりだとか、あたしのお父っつあんはこのあたりでは、有名な大工の職人で棟梁をやっているとか、たくさんの事を話した。
「へぇ〜。お艷ちゃんのお父っつあんは有名な大工さんなんだ〜」
「はい!あたしのちょっとした自慢話なんですけどね」
「例えば、どんなところを作っているの?誰かのお屋敷とか?」
「えぇ、お父っつあんは、吉良様のお屋敷の設計図、まぁ設計図の事を絵図面と言うんですけど、それを作って、手掛けていたんです。あの吉良様のお屋敷はお父っつあん達が作ったんですよ」
「何だって!吉良様のお屋敷を!!」
「はい。そうなんです」
「そうか‥‥」
「今帰りました」