沈黙の天使
‡‡‡‡‡‡
目を覚ました絵美の瞳は相変わらず何も映さない。
今が一体何時なのかもわからないが、随分と長い間眠っていただろうことは想像がついた。
つい昨日も見た夢の続きを見ていたのだろうが、何とも懐かしい景色であったのが不思議でならない。
だが、自分達天使が存在するようになった本当の理由が、沈黙の天使である自分の存在意義が、判るような気がしてならなかった。
ゆっくりとベッドから降りて一階へと移動する。目が見えないはずが、しっかりと自分の歩く道が解る。
リビングまで来たときの薫の驚きは容易に想像できるだろう。
時刻は既に夕方を過ぎていた。外は暗くキッチンからは夕食のいい香が漂っている。
「転ばなかった?何度か起こしに行ったんだけど、ずっと眠っているようだったから…」
部屋から出てきたことに大きな喜びを感じている薫。
目頭が熱くなるが、それを悟られまいとしっかりとした口調で喋る。
しかし、絵美は真っすぐと彼女のところへ向かい、指先で涙を拭った。
「絵美ちゃん、目が…?」
そう言って絵美の肩を掴みしっかりと彼女の瞳を見るが、無表情のまま首を横に振られた。
小さく『そっか』と呟いたものの、絵美をしっかりと抱きしめ部屋から出て来たことを心から喜ぶ薫だった。
目を覚ました絵美の瞳は相変わらず何も映さない。
今が一体何時なのかもわからないが、随分と長い間眠っていただろうことは想像がついた。
つい昨日も見た夢の続きを見ていたのだろうが、何とも懐かしい景色であったのが不思議でならない。
だが、自分達天使が存在するようになった本当の理由が、沈黙の天使である自分の存在意義が、判るような気がしてならなかった。
ゆっくりとベッドから降りて一階へと移動する。目が見えないはずが、しっかりと自分の歩く道が解る。
リビングまで来たときの薫の驚きは容易に想像できるだろう。
時刻は既に夕方を過ぎていた。外は暗くキッチンからは夕食のいい香が漂っている。
「転ばなかった?何度か起こしに行ったんだけど、ずっと眠っているようだったから…」
部屋から出てきたことに大きな喜びを感じている薫。
目頭が熱くなるが、それを悟られまいとしっかりとした口調で喋る。
しかし、絵美は真っすぐと彼女のところへ向かい、指先で涙を拭った。
「絵美ちゃん、目が…?」
そう言って絵美の肩を掴みしっかりと彼女の瞳を見るが、無表情のまま首を横に振られた。
小さく『そっか』と呟いたものの、絵美をしっかりと抱きしめ部屋から出て来たことを心から喜ぶ薫だった。