沈黙の天使
第7章 閉ざされる道<前編>
「すみません、急に家まで来てしまって…」
ダイニングテーブルに座ったまま深々と頭を下げるのは、平日の昼間に薫の家を訪れた隆彦だ。
「いいのよ。あなた、絵美ちゃんに会いに病院まで来てくれたんだったわよね?コーヒー飲める?」
対面キッチンの中から薫が顔を出してコーヒーカップを見せる。
「あ、はい。えっと…。はい、病院に行きました。びっくりして、絵美に酷いことを言ってしまって…傷つけたと判ったんですが、傷つけたのを確認するのが怖くて病室から逃げてしまったんで…」
インスタントのコーヒーをカップに入れて、お湯を注ぐ薫。悲しげな表情で何も語らない。
「あの…すみません…やっぱり、帰ります…」
居づらくなり、思わず口から出た言葉だが、居座りたい気持ちでいっぱいだった。
「絵美ちゃん、沈黙の天使なんだって」
隆彦の前にコーヒーを置いて呟いた。
「絵美が?!」
俯き加減だった隆彦だったが、その言葉に反応して席を立ってしまう。
「落ち着いて。あなたが絵美ちゃんに何をしたいのかは解らないけれど、この世の中、天使に関わると貴方が大変な目に会うかもしれない。
それでもいいなら話を聞くし、解る限りの返答をするけれど…」
向かい側の席に座る薫は、寂しげな表情を隠す事なく、けれどもしっかりと隆彦を見て言う。
ダイニングテーブルに座ったまま深々と頭を下げるのは、平日の昼間に薫の家を訪れた隆彦だ。
「いいのよ。あなた、絵美ちゃんに会いに病院まで来てくれたんだったわよね?コーヒー飲める?」
対面キッチンの中から薫が顔を出してコーヒーカップを見せる。
「あ、はい。えっと…。はい、病院に行きました。びっくりして、絵美に酷いことを言ってしまって…傷つけたと判ったんですが、傷つけたのを確認するのが怖くて病室から逃げてしまったんで…」
インスタントのコーヒーをカップに入れて、お湯を注ぐ薫。悲しげな表情で何も語らない。
「あの…すみません…やっぱり、帰ります…」
居づらくなり、思わず口から出た言葉だが、居座りたい気持ちでいっぱいだった。
「絵美ちゃん、沈黙の天使なんだって」
隆彦の前にコーヒーを置いて呟いた。
「絵美が?!」
俯き加減だった隆彦だったが、その言葉に反応して席を立ってしまう。
「落ち着いて。あなたが絵美ちゃんに何をしたいのかは解らないけれど、この世の中、天使に関わると貴方が大変な目に会うかもしれない。
それでもいいなら話を聞くし、解る限りの返答をするけれど…」
向かい側の席に座る薫は、寂しげな表情を隠す事なく、けれどもしっかりと隆彦を見て言う。