沈黙の天使
第9章 開かれ始めた真実の扉
日差しが強く、カーテン越にもじりじりと肌を焼いていく。
最後に隆彦と会ったのはいつのことだったか。さほど時間は過ぎていないはずが、何年も会っていないように思える八月の空。
羽根の殆どが輝き、白さを増している。だからと言って何かが変わったわけでもなく、しいてあげるならば食事の量が少し増えたぐらいだろう。
隆彦に会えないからと言って嘆く表情は持ち合わせていない。隆彦に会えたからと言って喜ぶ表情も持ち合わせていない。
元気にせわしなく動く日もあれば、心が死にそうになり引きこもる日もある。
何とか連絡を取りたくてもなかなか出来ず、LINEが繋がっても数分で会話を終わらせなければいけない。
時に数週間連絡を付けられなかったこともあり、彼の気持ちが崩れてしまったのではないかと心が弱くなることもあった。
それでも信じるしかない。彼を失えば、絵美に生きる理由が無くなってしまう。
信用して、甘えて、縋るしかない。
そうしないと自殺を計る毎日に身を投じることになりそうだったからだ。
そんな何も変わらない日常の中、非凡な一日が訪れた。
‡‡‡‡‡‡
「おはよう。ミアにそっくりだな」
朝目を覚ますと、聞いたことの無い男性の声がする。だが懐かしい。
ベッドから上半身を起こした絵美の目にはしっかりと彼の姿が見える。けれども周りの景色はまだ闇の中だ。
『ケイだ…』
そう、まさしく夢の中で見た悪魔のケイだった。
最後に隆彦と会ったのはいつのことだったか。さほど時間は過ぎていないはずが、何年も会っていないように思える八月の空。
羽根の殆どが輝き、白さを増している。だからと言って何かが変わったわけでもなく、しいてあげるならば食事の量が少し増えたぐらいだろう。
隆彦に会えないからと言って嘆く表情は持ち合わせていない。隆彦に会えたからと言って喜ぶ表情も持ち合わせていない。
元気にせわしなく動く日もあれば、心が死にそうになり引きこもる日もある。
何とか連絡を取りたくてもなかなか出来ず、LINEが繋がっても数分で会話を終わらせなければいけない。
時に数週間連絡を付けられなかったこともあり、彼の気持ちが崩れてしまったのではないかと心が弱くなることもあった。
それでも信じるしかない。彼を失えば、絵美に生きる理由が無くなってしまう。
信用して、甘えて、縋るしかない。
そうしないと自殺を計る毎日に身を投じることになりそうだったからだ。
そんな何も変わらない日常の中、非凡な一日が訪れた。
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「おはよう。ミアにそっくりだな」
朝目を覚ますと、聞いたことの無い男性の声がする。だが懐かしい。
ベッドから上半身を起こした絵美の目にはしっかりと彼の姿が見える。けれども周りの景色はまだ闇の中だ。
『ケイだ…』
そう、まさしく夢の中で見た悪魔のケイだった。