人の恋を笑うな
『もしもし紀子?乙女だよ』


『どうしたの?今どこにいるの?』


『実家に帰ってる。聞いたわよ。結婚の話し』


『ええ!もう耳に入った?恐ろしい…さすが田舎』


『水臭いじゃない。言ってくれたらよかったのに』


『乙女も引越しやら仕事で忙しかったでしょう?お正月明けてから話そうと思って…話しがぽんぽんと決まって』


『お見合いってホント?』


『うん、私の上司の知り合いから来た話しなの。会うだけでもって言われて、まあご飯ゴチになるか〜なんて軽い気持ちでいったのよね

同じ建築士さんで歳は35歳。私のタイプじゃなかったんだけど…話ししてるうちに、二人の未来がぱっと見えてきたのよ

私がいて、この人がいて子供がいる…って

だから直感で話し進めてくださいって私から言っちゃった』


『それってある意味逆プロポーズじゃない!すごいわね、紀子…』


『そこから湧いてくる恋心っていうのもあるのね。今すごく恋愛してるって感じだわ。式は来年の3月にするつもり。もちろん乙女にも出てもらうわよ』


『喜んで。うちは夏子のほうが先にお嫁に行きそうよ。もうラブラブ』


『なっちゃんが?おめでたいわね。ところであんたはどうなのよ』


『実はさ…夏に元カレと再会してプロポーズされたんだけど断っちゃった…かなり揺れたんだけど』


『なに?好きな人でもいるの?』


『うん…30越えた女がぐずぐずしてるのもどうかと思うんだけど、中々上手くいかないの。私がぬけてるからかなあ…』


『その人って、乙女にとってどんなに大事な人?』


『そうだな…仕事にパワー与えてくれる、私の女の部分引き出してくれる、違う才能見つけだしてくれる、自分の命と同じくらい大事』


『乙女がそんな事言うなんて笑うけど…すごいパワーというか、あんたにとってパワースポットみたいな人なんだね』


『そうみたい』


そう、私の元気の源だもん…社長は私のパワースポットなのだ
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