人の恋を笑うな
『3階?ああいいよ、日曜日なら。アンプも隼人に頼んでやるよ』


『ホントですか?ありがとうございます!』


『ベースはあるのか?』


『ないんですけど、レンタルで』


『隼人持ってるから借りたらいい』


『隼人さんベースするんですか?』


『昔からやってたみたいだ。こっちでもよく弾いてるよ』


『何から何まですみません!助かります』


『着物にベースは微妙だけど俺的には萌えるね』と社長はニヤリと笑った


『結婚式の日、社長に一番に着物姿みせに行きますから』


『式場までエスコートするよ。俺の大事な姫だからな』



よかった〜練習できるよ!瞳には全部OKだとメールしておいた


最近、社長も私をすごく意識してくれてる。これもまた嬉しい


大事な姫だって!もう頭壊れそうだわ!


『乙女ちゃん、何興奮してんの』とスタッフさんに声かけられて赤っ恥をかいた…



日曜日、隼人さんにアンプとベースを借りて、瞳の車に積み込んだ


『返すのはいつでもええで、存分に練習してや』


『ありがとう、お借りしまーす』


『よかったね、乙女。後は昔のカン戻すだけだね』


『ホントね、がんばろう!』


会社について、私達は3階に機材を運びこんだ


チューニングをして軽くコードを押さえる


下半身にひびく低音がたまらない


『いちど通してみる?』と瞳が言った


『OK、いこうか』


うん、いい感じ。歌詞もちゃんと覚えている。ドラムないぶん寂しいけど、これならいけると思った


『イケるね、乙女!あと何回か練習して本番ぶっつけだね』


『うん、最高だね!お互いコードの確認だけ家でするようにして、アンプはここに置いておく?』


『私の車に入れとくよ。結婚式には車で来るから。旦那が運転手』


『助かる。じゃあそうしよう』


瞳はアンプを積むと横浜に帰って行った


私は一人残って練習した部屋を掃除した


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