人の恋を笑うな
『乙女さん…すごい…』


ドアの前にたってたのは島田君だった


『何?見てたの?』


『3階のスタジオの感じ見に来てたんですよ、そしたらいきなり事務所の部屋で音楽聞こえたから…』


『友達の結婚式で余興にね。高校の時のバンド仲間なの』


『ちょっと感動して泣きそうになりましたよ…』


『大袈裟だよ…。大変だね、大阪と行ったりきたりで』


『大丈夫です。サラリーマンでいえば栄転ですから』


『石田さんも張り切ってるもんね』


『連絡したりするんですか?』


『うん、メールでね。最近もうメル友に近いよ。どこの店が美味しかったとか、酒のメールばかり』と私は笑った


『俺にはメールくれませんね…』


『だって、会うほうが多いじゃない、仕事の電話も毎回だし』


『個人的なメール欲しいんです』


『仕事以外はダメだよ。もうはっきりいってるでしょ?』


『社長がいても、惚れてますから』島田君は笑いながら階段を降りていった


島田君はこんな私のどこがいいんだろうか。物好きである…社長もそうなのかもしれない


ビルから出て鍵をかけ、私は駅までぷらぷら歩いていた


なんだかケーキが食べたくてカフェに寄ってみた


イチゴのタルトと紅茶を頼みくつろいだ


隼人さんにメールを入れる


【今日はありがとうございます。バッチリ音合わせできましたよ】


【そらよかった。今兄貴来てるで。うちで飯食べへん?】


【いいんですか?】


【兄貴も来い言うとるわ、おいでや】


私は慌ててタルトを食べるとカフェを出た
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