人の恋を笑うな
化粧室で私は白粉をつけ、紅をさされ、日本髪のかつらをつけた


衣装部屋で真っ白な白無垢を着せられ、家族の待つ控室に行った


『まあ、乙女きれいよ』とお母さんは泣いた


『これが乙女か』とお父さんも泣いていた


『乙女ちゃん、綺麗、綺麗。じゅんぷららだね』

『ラブちゃん、ジューンブライドよ。お姉ちゃん似合ってるわよ。私も披露宴はこれにするか』夏子とおばあちゃんは笑っていた


『みんな、いろいろ心配かけてごめんね。お父さん、お母さん、お世話になりました。ホントにありがとう』


社長と顔合わせになった


『武人さん』


『乙女、想像以上だ』


私達は神前式をあげにいった。三々九度ではお互い手が震えた


指輪の交換も社長の震えが伝わってくる


披露宴会場へと移った時だった…


なんなんだこの頭の痛みは!ずきずきと私を襲う

もう目が舞いそうになった。それにきづいた担当さんがすぐにかけつけてくれた

『どうなさいました?』


『頭痛くて死にそうです〜』


『きっとかつらがキツイんですね』とかつらをきゅっきゅと緩めてくれた


楽になると今度はお腹が空いてきた…お腹がぐるぐる鳴る


うちかけに着替える時、サンドイッチを目一杯頬張った


うちかけ姿にも社長は喜んでくれた


スピーチやらがはじまると私は段々眠くなってきた…瞼は重く限界が近づいた時、ウエディングドレスのお色直しになった


ラッキー!苦しい着物とおさらばだ


『乙女疲れてないか?』


『大丈夫、少し眠いだけ』


『お前度胸すわってるな』


そしてお互い衣装部屋に戻っていく


あれ?おや?ヤバイよ!衣装合わせの時は余裕だったドレスがなんかピチピチ…


私太ったんだ!だから着物もきつく感じたのか


ベールはしっかりしたレースだったので最悪ファスナーが下がってきてもばれないだろう


扉の前では社長が既に待機していた


『ドレスもいいな…』


『武人さんもお似合いよ』


私達は腕を組んで扉の向こうに歩きだした
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