人の恋を笑うな
私は翌日頭を隠すようにニット帽をかぶって出勤した


『おはようございます…』


『乙女ちゃん、髪切ったのかい?ニット帽似合ってるよ』


『はい…少し切りすぎて…』


『いいじゃないか、どんな感じか見せてよ』


私はがっくり肩を落として、ニット帽を脱いだ


一瞬周りに沈黙が走った

『ああ…ちびまる子ちゃんみたいで可愛いじゃないか、なあ?』


『ああ!ちびまる子だ。まるちゃんだな、あはは』


私は涙目でみんなを睨んだ。そして乱暴に掃除をして、乱暴にコーヒーを入れた


社長室にいくのが怖かった…社長に笑われそうで


『おはようございます…コーヒーお持ちしました』と私はドアを開けた


社長が一言こう言った


『なんだ、散髪か。オカッパは女の基本だ、似合ってるぞ』


…素で言われてしまった


散髪、オカッパって…社長も歳感じるよ?


『笑わないんですか?』


『笑う要素なんてないさ。今の子は皆やってるじゃないか。気に入らない部分は帽子かぶったり、ワックス使ってアレンジしたらいいだけの話しだ』


あまり興味なさそうだな…私の髪型なんてさ


『気に入らないならこの店行け。少し短くするかパーマでもあてるんだな』


社長のくれた名刺の店は自由が丘にある超有名な店だった!セレブ御用達、値段も高い!


『こんなセレブな店いけませんよ…自分でアレンジします』


『だったらいい。今度機会あったらオーナーに会わせてやるよ。元同僚だ』


あ、ホスト時代の…きっとカッコイイんだろなと思った
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