人の恋を笑うな
私の晩御飯に、キッチンのカウンターは悲喜こもごもである…


『これだよ、乙女!ありがとうな』と社長は嬉しそうにぱくぱく食べてる

『…あのさせめて緑と赤入れようや…ほうれん草とかプチトマト。引越しの時の夏子ちゃんの弁当、運動会や花見みたいな豪華な三段弁当やったよ…』


『これが社長のリクエストなんだから仕方ないじゃない。文句言わないってさっき言いましたよね?』


『玉子焼きいい味だ。だし巻きよりこの固い感じがいいんだ。親父思いだす…』


『あの…お父様ってもしかしてもう…』


『東京の親父はな、今ハワイに住んでるねん。もうあっちに移住しとるわ、グリーンカードもとって』


『死んだお袋と初めてハワイ行った時からいつか移住すること決めてたらしいよ。だから旅行の時はホテルいらずで助かるよな?』


『ああ、ほんまや。乙女ちゃんもハワイ行ったら親父の家間借りしたらええわ。庭に別宅あるから』


『すごいですね!家広いんだ』


『時々留学生に貸したりしてるよ、短期間のね』


亡くなったんじゃないんだ…よかった。元気そうなお父さんでなにより


『乙女ちゃん、料理ならわなあかんで。兄貴めっちゃ美味い料理作るねんから…夏子ちゃんに習いや。それとも大阪のお袋のとこに修業にいく?』


『機会があれば…そのうち』


『これからは乙女にも現場任そうかな…大阪にも一つスタジオあるから今度出張いってきてくれ』


『それはマズイですよ!私は経理とライターの仕事で手がいっぱいです!』


『大丈夫!大阪は雑誌に載るようなグラビア撮影だから。乙女が使えるようなら、大阪の支社東京に移すつもりにしてる』


すごい話しになってきた!私一体どうなるんだろう!
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