鼓動より速く
健全な身体の持って、産まれて来たくせに、目的も持たずにヘラヘラしている。

全て物に束縛されないような生き方をするハルカは、はっきり言ってズルイと思ってしまう。
比べても、仕方ないのに、対象的なボクは惨めで仕方ない。

「ミノル君、今日から中学生だネ」
「ハルカもネ?」
「私?関係ないヨ」

笑顔で笑うハルカに、殺意を感じてしまう。

父親である筈のおじさんは、何も言わない。
コーヒーを飲みながら、ボクとハルカを見ているだけだ。
しかも、何かを期待している目線を感じる。

なんだ?

なんだ?

なんだ?

何を求めている?

学校に行くように言え!

と!?

まさか!?

ボクは、おじさんを凝視する!
すると、

「頼・む・ゾ」

口だけが、動く!
負けじとボクも、

「嫌だよ」

と声を出して言う。

「どうしたの?」

状況を把握していないハルカは、キョトンとして、呑気に口を開く。

「五万円な、そのコーヒー」
「は!?」

持っているコーヒーを落としそうになった。
有り得ない! 
子供のような中年だ。

「はい。六万円」
「なんで、値上げするの?」
「コーヒー豆は、数秒で価値が急変するからだ!」

・・・・インスタントだろ?
これ。

「・・・了解。分かったよ」
「え?何?意味が分からないよ私」

またまた、おいてきぼりを喰らうハルカはあたふたしていた。

本当にヤレヤレだ。

「ハルカ、部屋に案内してよ」
「えーヤダー。布団がぐちゃぐちゃだもん」
「別に良いよ」
「あー。お父さんー。ミノル君がエッチだよー」
「まぁ、男だからなぁー」
「そっかぁ」

この親子は、全く。
どういう教育してるんだろうか?
とっても気になる。

「おい!ミノル!時間、時間」
「8時!?ハルカ、早く行こう」
「えー」

嫌がるハルカを引っ張り、部屋に向かった。
途中、おばさんの仏壇が見えた。記憶はないが、会った事があるらしい。

ハルカとボクは、双子と豪語し自分の子供のように、ボクと接してくれた。と、おじさんが言っていた。
そしてボクの病気の事で、1番、泣いた人らしい。

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