先生…ごめん、愛してる。【完】
  

「食べてないな?」


 看護師が黙って頷いていた。


「母さんからプリン預かって来た。行こう。」


 棗は、言って車椅子を押す。


 羚音は、正当防衛が認められ無罪だった。しかし…羚音には、全ての記憶がなかった。

 棗も2週間病院に通ってようやく覚えてもらったのだ。

 医師によるとあまりのショックな事があるとなってしまう【解離性健忘症】になっていると診断を受けた。

 その為今だに退院を許さない。

 羚音は、“何も”覚えていない。無防備になっていた。

 棗は、妹を守っていた。


  
< 187 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop