先生…ごめん、愛してる。【完】
  

「羚音、ここに居たのか。」


「棗…何処かへ連れてって。」


 棗に手を伸ばして言う。


「どうした?」


 棗は、その手を取って聞く。羚音が凄く怯えているからだ。


「羚音…どうしたんだ?」


「行かなくちゃ、此処は…ダメ。…居ちゃイケないの。」


 羚音は、訴えて車椅子から落ちた。


「羚音っ!!」


「…イヤッ!!寄らないでっ!!」


 羚音は、叫んで砂の上を這うように後ずさる。


「羚音っ、落ち着け!」


 棗は、腕を掴んで抱きしめた。


 苦しみが…心を壊していく……


  
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