私的恋愛*シテキレンアイ





「言うな、雪都」
「え」
ユワタローが此方へ振り向いたかと思うと、思い切り玄関に押さえつけられた。


「アイツの名前を……お前の唇で、紡ぐな」
どこか熱っぽい瞳が雪都を捉えて揺らいでいる。



「ユワ、タロ……」
「雪都」
ユワタローの指が、雪都の唇を撫でる。




「ストップ、ですよ」
「!」
「誰だ!」
ユワタローは声のする方へ振り替える。
「な、お前は」
「こーちゃんっ」


廊下の側面である壁に、腕を組み、足を軽くクロスさせて持たれている。


胸につくか、つかないか……細くて真っ直ぐな銀髪が揺れた、



「かえして貰います」
あっという間に、雪都の背後へ瞬間移動し、細い彼女の肩ごと、紅庵の腕と体で包み込む。


「なな、!」
色んな意味で再び赤面する彼にフフッと、余裕の笑みを浮かべて、雪都ごと消えた。



「くそっ!」
その場に残ったのはアイツの牽制の意味で見せた笑みと雪都の潤んだ瞳、火照った顔、そして先程までの静けさ……だけだった。




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