赤い白ワイン
―――――。
私が彼を拾って三日間、彼は深い夢の中にいた。
その間、雨は降ったり止んだりを繰り返していた。
―――そして、
四日目の早朝。
神様とやらが、ドラム缶に溜めてあった水を滅多矢鱈に引っ繰り返しているような途方もなく激しい雨が降る中、私は今までで一番強い生命の危機を味わうことになった。
「ちょ!ちょっと待て。
やめろっ!!」
突然目を開け、突然跳ね起き、突然傍らのサイドテーブルの上に置いてあった果物ナイフを右手に鷲掴みに握る。
窓から差し込む雨降りの朝の白く篭ったような微かな光で切っ先がギラリと光ったかと思えば、ベッドのバネの反動を活かして驚きに立ち竦む私の背後に回り込み羽交い締めにし、彼が私の背後に切っ先を突きつけたのだから。
それは、ほんの一瞬の出来事。
いつの間にナイフを右手から左手に持ち替えたのかも分からないほど、後悔も何も考えている間も無いくらいに瞬間的な…。
羽交い締めの状態で改めて後悔するとすれば、先ほど腹ごしらえとして林檎を剥くためにナイフを持ってきてあったことぐらいだろう。
私が彼を拾って三日間、彼は深い夢の中にいた。
その間、雨は降ったり止んだりを繰り返していた。
―――そして、
四日目の早朝。
神様とやらが、ドラム缶に溜めてあった水を滅多矢鱈に引っ繰り返しているような途方もなく激しい雨が降る中、私は今までで一番強い生命の危機を味わうことになった。
「ちょ!ちょっと待て。
やめろっ!!」
突然目を開け、突然跳ね起き、突然傍らのサイドテーブルの上に置いてあった果物ナイフを右手に鷲掴みに握る。
窓から差し込む雨降りの朝の白く篭ったような微かな光で切っ先がギラリと光ったかと思えば、ベッドのバネの反動を活かして驚きに立ち竦む私の背後に回り込み羽交い締めにし、彼が私の背後に切っ先を突きつけたのだから。
それは、ほんの一瞬の出来事。
いつの間にナイフを右手から左手に持ち替えたのかも分からないほど、後悔も何も考えている間も無いくらいに瞬間的な…。
羽交い締めの状態で改めて後悔するとすれば、先ほど腹ごしらえとして林檎を剥くためにナイフを持ってきてあったことぐらいだろう。