SEASONS
だけどそう言いながらあたしからもキスをした。


「……好き」

短く、重ねるだけのキスを繰り返す。


「好き」


離れた時に紡ぐ言葉。

それはまるで呪文のよう。


──誰に向けて言ってるんだろう。


大野くん?

それとも、あたし自身?



ガタンッ

「!!」


あたし達以外誰もいないはずの図書室。


なのに、あたしの背後から音がした。



大野くんと顔を見合わせてから振り返ると、そこに立っていたのは……。
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