いつわり彼氏は最強ヤンキー[完]
おろおろしている私をよそに、久世玲人はひどく冷静に「いいから帰れ」と言い放ち、ゴロッとベンチに仰向けに寝転がった。

どうやら、私の相手をする気はないらしい。


久世玲人がそう言うなら…。

「では、さようなら」と帰りたいところだけど…。


さすがに、こんなケガ人を放って帰るなんて私にはできない。いくら久世玲人でも。


この人と関わると、ほんとろくなことがないな…。全然平和じゃないよ…。


ガックリしつつも、おそるおそる声をかけた。


「ねぇ…久世君…。傷の手当てしなきゃ…。うち、この近くだからさ」


こんな私の優しい言葉にも、久世玲人は何の反応も見せない。ベンチに寝たままだ。

< 87 / 446 >

この作品をシェア

pagetop