同居から始まる恋もある!?
芹生の言葉は、この小さな世界に静かに響く。
「あの頃、俺はいつだって自分を見失ってた。空っぽで中身のない自分に、結構焦ってたし。だから、サチが嬉しそうな顔してくれたりさ、自慢の兄貴でいられることで、救われてたのは俺のほう」
じりじりと、心が痺れる。
その先は、もう聞かなくたってわかったから。
ゆっくりとわたしに視線をやる。しっかりと、その綺麗な濡羽色に映りこんだ。
わたしは、なんて情けない顔をしているんだろう。
「ありがとう」
芹生は、ひとことそう言った。
「俺にとって、サチは大切な妹だよ。だから、誰よりも幸せになってほしいんだ」
「…そっか」
込み上げるものを、必死に飲み込んだ。
泣くものか。
わたしは、必死に口元に笑みを浮かべる。