同居から始まる恋もある!?
違うんだ。
大丈夫かと、心配するのは俺の役目だったはずなのに。
―情けないな。
そっとサチの頭を撫でて、俺はそこから目を背けてしまった。なんとなく、家にも居づらくなって次第に実家とも距離を置くようになった。
それでもサチだけは、俺がたまに実家に帰ると、いつも待ち構えていたように「おかえり」と声をかけてきた。
そのたびに、嬉しいのと居た堪れないのと、よくわからない感情が自分を責めるから、いつだって「ただいま」のひとことがいえなかった。
若いだけの、ただの甘ったれだった俺は、全部から逃げ出したのだ。
サチに、どうしていなくなったのかと聞かれて、答えるとしたらその程度のことだ。
欲しいものも、叶えたい夢もなかった俺は、周囲の言う通りに優等生の振りをして生きてきたけど。
こんな状況になって俺は、少しだけ理解した。
たぶん、俺は大好きなサチが自慢出来るような、誰よりいちばんカッコいい兄ちゃんでありたかった。
それだけ。
ただでさえカッコ悪いとこしか見せられないのに、こんなこと言える分けないでしょ。