きみといつまでもいたい
急に勢いを失った水谷を見て、聖夜は彼の肩にそっと手を当てた。
「悪かったな。
お前には、辛い役回りばかり押し付けて。
でも、今、俺はミルクにトラウマを植え付ける訳にはいかないんだ。
これからずっと、ミルクの傍にいることが俺の望みなんだから」
「何だよ、それ?」
「ミルクが俺に会いたいって思うまで、俺はミルクの前には立たない。
そう決めたんだ」
「そんな理屈が通るかよ?
電話も手紙もよこさないで。
それじゃ、カナダにいたって何処にいたって同じだろ」
水谷の言葉に、聖夜は少しハッとして、少し戸惑ったように呟いた。
「手紙か……
メールなら、少しづつでも、ミルクに近づけるかな……
水谷、お前、ミルクのメアド知ってるか?」
「何だ、お前、そんなことも知らずにこの日本にいたのか?」
「俺だって、ミルクに会いたい気持ちを抑えるので必死だったのさ。
日本に戻って、携帯は手に入れたけど、電話をかける気にはならなかった。
声を聞けば、会いたくなる。
そうだろ?」
聖夜の美しいブルーグレーの瞳が水谷に真っ直ぐに向けられた。