先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
ダ、ダメだ……。


やっぱりガマン出来ない! 


いやいやガマンしろ、相手は手負いの獣。


ガマンしたら一生『草食系男子』と、笑われる。


それでもいいのか? いやいやよくないだろ。


「神崎、お前の気持ちはもう知ってる。2年も一緒に過ごして来たんだ、書いたモンを見れば作家がどんな心境かすぐに理解出来るんだよ、編集者っていうのは」
「宮澤さん……」
「好きなら好きだって言えよ、素直に」


コクるように促されても素直に言えないのは、原さんにまだ未練を残しているのが分かるから。


そうでなければたった10杯で酔って、僕ごときにホテルの部屋へ連れ込まれたりなんかしない。


だから正直に今の思いを告げようと、クルリと体を回転させて宮澤さんと向き合う。
< 104 / 183 >

この作品をシェア

pagetop