先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「で、まあ行っちゃったんですけど」
「あの子、原ちゃんにはメロメロだったもの。それは仕方ないわよ」
「でも、原さんには彼女が居て」


まだ結婚はしていないけれど、浮気は浮気だろう。


2人は僕よりもずっと大人だから、そういう関係に何の躊躇もしないだろうけれど……。


加えて仕事の上でも、宮澤さんの事だから今のまま淀川書店でくすぶっているより、原さんに誘われるままフリーになった方がいいと考えているのではないだろうか。


だから自分をまた傷つけようとしているのを理解した上で、あんな誘いに応じて行って。


考えれば考える程ドツボにハマりそうになり、頭を抱えてカウンターの上へ突っ伏していると和希さんが僕の両肩へ手を掛ける。


「亘理君、あなたに教えてあげるわ。あのコの事、全部。それを聞いても尚、諦めないんならしょうがないけど……でも、けじめを付けるにはいい材料だと思うから」


それから始まった宮澤さんの過去の話は、想像を絶する内容だった。
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