先生、男と女になれません。 －オトナの恋事情ー

彼女の過去

宮澤　加瑚、この名前は実の母親が付けたもの。


だがその母親はひどい女で、宮澤さんを出産した時、父親が誰だか分からない程不特定多数の相手と適当な交渉を何度も重ねていたらしい。


それ故に生まれた娘へ愛情が持てずに出生直後から施設へ預けた後、新しい交際相手や夫が見つかる度に引き取って、そしてその相手と別れると再び彼女を施設へ預けての繰り替えしだった。


「ちゃんと親権を手放してくれてたら、どこかのいい家に養子へ行かれたのにね。まあ、私も同じだったけど」


何度も引き取っては預け、引き取っては預けを繰り返す無責任な親だったが、当時は純粋に慕っていたと言う。


「戻って来るたんびに、お母さんが髪の毛を結んでくれたとか、どこへ連れて行ってくれたとかさ、ホントあの子が母親に寄せる思いはひたむきだったの」


しかしその関係が狂ったのは、彼女が１３歳の頃。