先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
「13歳って言うと女の子は女に変化する時期じゃない? だから母親の新しい相手のホスト崩れにあのコが狙われて……」


性的虐待の一歩寸前で母親に見つかり、再び彼女は施設へ戻されて以降、もう二度と実の親に会う事は無かった。


「まあそれで諦めが付いたって言うのかしらね、自分はあんな風にみじめな女になりたくないって言って、ガリ勉を始めたのよ。高校から大学へどうしても進んで、自分1人の力で生き抜く為に。でも、男はもう信用しなくなってた。ゲイであるって小さい頃から自覚してた私以外は」


普通ならば高校へ行かずに自由を求めて中学を出ると同時に施設から出て行く子供が多い中、宮澤さんは必死に勉強をし始める。


そんな彼女の息抜きは、ファンタジー小説やライトノベルを読む事だけ。


空想の世界の中で自分を遊ばせて、辛い現実から逃げようとしたのだろう。


結果、見事大学へ進学したが、そこからの保証は何も受けられないので生活と学費を稼ぐ為にアルバイトを始めた。


「学生だから夜しか時間が無いでしょ、でもキャバクラみたいな所で男にコビ売るなんて絶対にしたくないって言って、当時、もう二丁目で働いてた私に相談しに来たの」


和希さんは親身にその相談へ乗り、そして紹介したのはSMクラブ。


「自分が母親に愛されなくなった原因である憎い男をビシビシぶっ叩いて、罵って支配してナンボのお仕事だから」
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