先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
そういう仕事だけに、宮澤さんはみるみるうちにNO,1へのし上がって行ったそうだ。


「一時はスポンサーが付いて店を出さないかって言われてたんだけど、大学を出たらまともな仕事をしたいからって断っちゃって。で、元々本が好きだった事もあって、淀川へ入社したの。原さんと付き合い始めたのも、ちょうどその頃ね。新入社員だったし、あの人優秀だからあれこれ付いて行っているうちに」


男嫌いだったけれど、優秀な原さんと接している内に後輩として慕う内に自然とそうなって行ったのだろう。


「紹介された事があったのよ、一度。その時の加瑚ちゃんはホントに女だった、あのドSな加瑚ちゃんが! って驚く位」


2人だけの時はそういう風に振る舞い、仕事の時だけはドSの仮面を被るようになったという事か。


だとしたら未だにドSとして支配されている僕は、あくまでも仕事だけの関係。


「だから諦めなさい」


再びポンポンと肩を叩き、残ったシャンパンを片付けた和希さんは『pinkish』を出て行く。
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