先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
叩いて気が済むのなら何度でもどうぞ、と立ち上がって目の前で四つん這いになる。


ヤケを起こして開き直ったからにはどんな罰でも受け入れよう、そう決めたから。


ヒュンッ! ビシィッ! 頭上で派手な音が聞こえたが少しも体へ痛みが走らない、先に床を叩く事でまずジワジワと恐怖感を与えてから叩いて余計に痛みを増そうとしているのか……。


次に襲うであろう一撃に対し、身構えていたらカサカサと別の音が聞こえて来た。


なんだろうと顔を上げて、宮澤さんの手元を見ればあのピンク封筒。


「亘理君へ

 夕べはごめんなさい
 忘れて行ったネクタイ
 一緒に入れておきます
 それから、執筆が辛い
 なら諦めていいよ


 亘理君はケー小より
 ラノベを書かなくちゃ
 いけない人だから

 それじゃあね


裕実』


読み上げが終わると同時に、ビリビリーッ! ブチッブチッ! パラパラッバンッ!
手紙を八つ裂きにしてゴミ箱へ放り込まれたのが分かる。


「立て、神崎」


何故立てと言うのかは分かる、宮澤さんはこの手紙を裕実からの挑戦状だと思っているから。


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