先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
印税も会社が倒産しかかっている為、支払いも本来の金額の数パーセントしか貰えない。


有山君の場合、アニメ化もされているからその分の著作権料も関わって来る。


『俺、もうダメです』
「だ、大丈夫だよ。何とかなるって、絶望しちゃいけないよ」


これまでずっと執筆活動だけに没頭していた彼が現実に直面した、それは今後、作品を書くにあたりかなり重い鎖になるに違いない。


今までのようにただ作品を書けばいい、という状況ではなくなるし、ラノベは空想の世界だけに書き手の精神状態も影響する。


「とにかく落ち着いて、有山君なら大丈夫だから」


僕に言えるのはただそれだけ、それ以外に彼を励ますいい言葉なんて思い浮かばない。


何てダメな男なんだろうと、自分の不甲斐なさや頼りなさを再認識させられて終話ボタンを押した後、深い溜息を1つ漏らす。


こんな時、加瑚ならばどんな言葉を掛けるだろう。


『何をガタガタと言っているんだ、前を見ろ前を! 』


そう言ってムチで1つ背中を叩いてくれるだろうか?


いや、今の加瑚はそれどころじゃない。
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