先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
新たに付いたあだ名が『エナメル9cmヒールで踏まれたい女社長NO,1』。


こうして名実共に本物の女王様になった加瑚に僕が死ぬ気でプロポーズをしたのは、3ヶ月前。


原稿の取立てに訪れた加湖を前に土下座をし、東京スカイツリーから飛び降りるような思いで


「加瑚さん、お願いですから結婚して下さい」


と。


その瞬間、彼女は少し照れたのかほんのり顔を赤くしながら……いや、しなかった。


いつもと同じ冷酷無比な表情を崩さず


「亘理、その原稿が上がったらもう一度言え」


ムチを一度しならせた。
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