先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
社長直々の原稿取立てか、まあ仕方無い。


この所、結婚式の準備やら新婚旅行の手配なんかで忙しくしてたから執筆が遅れていたし。


加瑚の持ち込んだ段ボール箱の中に埋もれながら、僕は書斎の椅子へ座り直してキーボードを叩く。


「亘理ぃ! 貴様何やってんだっ! 」


解錠音と共にドタドタという足音が響き、続けてムチが唸る。


ビシィッ!


「済みません社長、色々ありまして! 」
「さっさと上げろよ! スタッフが待ってんだぞ! 人の迷惑も考えろ! 」


淀川の後始末を終えた加瑚は即座に日之出さんやその他の下僕達を従え、8ヵ月前に自力で電子書籍の会社を立ち上げた。


そこで小鳥ちゃんの新作を限定発売した所、一気に創立資金の借金をチャラに出来る程の売り上げを上げ、他にも僕が手がけた純愛物の携帯小説や有山君のラノベも販売しており、ついでに昔のツテを使いSMのメールマガジンまで発行し、今や電子書籍界では飛ぶ鳥を落とす勢い。


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