先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
宮澤さんには両親がおらず、ひまわり園という施設でこの和希さんと共に暮らしていたらしい。


そしてここで言う先生とはその園の園長先生、当然2人の親代わりとして卒園してからも何くれとなく心配をしてくれていたそうだ。


だが、三年前に事故で亡くなって……。


これまで闇の中に隠されていた過去を知り、僕は思わず同情して鼻を啜りそうになった。


が、話の間に和希さんの手が僕の背中、太腿、お尻と這い回り……そして男子の最もシークレットな場所へ届きそうになったので慌てて椅子から立ち上がる。


「す、すみません本当に止めて下さい」
「あらぁ、ごめんなさい」
「和希、おイタはそのへんにしとけ。じゃあ話は終わったし、そろそろ帰るから」
「このコだけは残して行ってよ」


その一言を受けた僕は宮澤さんの背後に回り、母親にすがる子供のように隠れた。


「本気でキョヒられてるぞお前」
「残念だわぁ、また今度ね」


与えられた目は本気モードで獲物を狙う狼のように光っており、背筋が寒くなる。

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