先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
『おい、神崎』
「はい、何でしょう? 」
『お前の感想、なかなかいいトコ突いてんじゃねえか』


女王様に褒められ、ついケータイを片手にその場へひれ伏す。


でもこれは自分の作品に対する意見じゃなくて、他人の作品に対する感想を述べた事に対する賞賛で……。


「宮澤さん、そろそろ次を更新しても良いでしょうか? 」
『許可する、やれ。但し、言った事を忘れるなよ』
「ははーっ! 」
『後、腹は減ってないか? 最近夕食を作ってやっていないのを思い出した』


何と手料理まで頂戴出来るとは、有難き幸せと喜んでいたらものの数分でドアが開く音が聞こえる。


電話を取った時、後ろから聞こえる音が静かだと思っていたら。


「すぐに更新しろ、その間、あたしは夕食の準備をする」
「ありがとうございます」


包丁が立てるトントンという心地よいリズムを聞きながら、それに合わせてキーをカタカタと叩く。
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