先生、男と女になれません。 -オトナの恋事情ー
もしもあの時、僕が作家しての立場を失わなければ裕実と結婚してこんな風に彼女が立てる包丁の音を聞きながら執筆していただろう。
いいや、それは違うか。
裕実は自分で料理なんかしなかった、食事と言えばいつも外食ばかり。
あのグラスだって、外食の後家へ戻って飲む時にしか使わなかったな。
「出来たぞー、今日の夕食はほうれん草入りベーコンのパスタだ」
「ありがとうございます」
テーブルの上には温かい出来立てのパスタに、トマトとパセリをオリーブオイルで和えたサラダ。
シンプルだけれど、その2つが美味しくてついお代わりをする。
「お代わりをいただいても……」
「皿をよこせ」
言葉遣いは乱暴、でも慎重な手付きでお代わりをよそってくれた。
いいや、それは違うか。
裕実は自分で料理なんかしなかった、食事と言えばいつも外食ばかり。
あのグラスだって、外食の後家へ戻って飲む時にしか使わなかったな。
「出来たぞー、今日の夕食はほうれん草入りベーコンのパスタだ」
「ありがとうございます」
テーブルの上には温かい出来立てのパスタに、トマトとパセリをオリーブオイルで和えたサラダ。
シンプルだけれど、その2つが美味しくてついお代わりをする。
「お代わりをいただいても……」
「皿をよこせ」
言葉遣いは乱暴、でも慎重な手付きでお代わりをよそってくれた。