アタシタチノオウジサマ

朝顔

「そういう桃はどうなの？」

　明が探るような目で聞いてきた。

　あたし達は女子高に通っているから、恋バナなんて滅多にしない。というか、するほど経験がない。というか、するほど経験がない。どうなのと聞かれても、語れるような話が無い。

「あたしは…まだかな。」

　そう言って話題を反らした。明は少し不服そうな顔をしていた。

　自分だってまともな恋愛したこと無いくせに…。


　１５年間生きてきて、付き合ったことがあるのはただ一人。

　でも、思春期の興味本意みたいな感じだったので、恋人と呼べるほどの仲ではなかった。

　付き合った瞬間から、自分の心を何かに縛られたみたいになって、結局その重苦しい空気に耐えられなくて別れた。

　それからは、また同じことの繰り返しになるんじゃないかって思いこんで、恋愛自体にさほど興味が無くなった。