アタシタチノオウジサマ
 そういえば、初恋はいつだったかな?

 そんなことを考えていると、急に幼馴染みの顔が浮かんだ。あれは、恋とは呼べないだろう。でも、あたしと彼は、恋人以上にお互いを知りすぎている関係なんじゃないかと思う。


「桃ちゃん。おはよう。」

「おはよう。光君。」

 光君とは家が隣同士だった。赤ちゃんの頃から一緒に遊んでいて、かなり仲が良かった。小学生になってからも、毎日一緒に登校していた。

「ちゃんと宿題やってきた?」

「え?宿題なんてあった?」

「桃ちゃんは忘れんぼだな。学校で見せてあげる。」

 光君はとっても頭が良かった。頭だけじゃない。運動や音楽など、何でもできる子だった。多分、親が厳しかったからだとは思う。

 それに比べてあたしは、忘れ癖がひどく成績も良くない。運動音痴でかけっこはいつもビリ。光君とは対照的な子供だった。

 そんなあたしのことを、光君はいつも助けてくれた。
< 42 / 46 >

この作品をシェア

pagetop