アタシタチノオウジサマ
 普通、高学年になると男女がお互いを意識して、恥ずかしがり始めるが、あたし達はそんなこと無かった。相変わらず登下校は一緒だったし、光君に隠しごとは一切しなかった。

「僕、塾に通うことになったんだ。」

 小5の秋頃、光君はそう言った。

「お母さんが、私立の中学に行けって言うんだ。」

「え?じゃあみんなと一緒の中学に行かないってこと?」

 あたしの学校の生徒の大半は、隣の駅の公立中学校に進学していた。あたしはてっきり光君も一緒に通うだろうと思っていた。

「寂しいけどしょうがないよ。僕はお母さんの期待に答えなきゃいけないから。」

 そう言った時の光君は、純粋で澄んだ瞳をしていた。本当にお母さんのことを大切に思ってるようだった。

 だけど、子供の純粋な心なんて、すぐに汚されてしまうものだ。


 光君は塾でたくさん勉強して、都内でもトップクラスの私立中学校へ進学した。あたしは、みんなと一緒に公立の中学へ通った。

 勿論、もう一緒に登校することなんて無くなった。光君は、あたしよりも一時間もの早く出てしまう。

 中学生になってから滅多に会わなくなった。
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