私こそ光る☆君 ~番外編~
目的のものを取り出して戻ってきた紫水は、空いている方の手で私の手を取って立ち上がらせ、綻ぶように笑った。


「……はい、どうぞ?」


『……っ、ありがとう//』


これは不可抗力。

至近距離で微笑まれて一瞬だけドキッとしちゃった。



こういう時、紫水ってすごくズルイと思う。

いつもイタズラばっかりで、意地悪なのに何気ない動作がとても紳士的で、たまに穏やかに笑ったりして……。

いつも優しかったらいいのに、変な人。


変と言えば……。


受け取った箱を見て思う。


紫水って自分専用のソーイングセット持ってたんだ。

なんかすごく意外。

紫水も自分で何かを繕ったりするのかな?


『ふっ……』


思わず口元が緩む。


針でチクチクやってる紫水を想像すると可笑しいね。


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