傷、のちに愛



それから、私は千秋さんと遥さんの話を聞いた。

―――遥さんは元カノで、千秋さんに会いに来たこと。
メールは遥さんが勝手に送ったものだと言うこと。


「和葉…怖くない?」

千秋さんの腕の中で話を聞く私に、彼は尋ねてきた。

「え?…大丈夫。怖くないですよ」

千秋さんだから、怖くない。
そう言おうとしたら、唇を塞がれた。

「だめだ。これ以上触ってたら我慢できねぇ」

一瞬だけの口づけのあと、千秋さんは私ごと立ち上がり私の顔を見つめながらまた顔を近づけてきた。

「……でも、やっぱ触れていたい」

そのまま唇をついばむようなキスを何度も何度もされた。



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