爽やか王子と内気少女
ビックリして手を本から離したため、読んでたページがパラパラとめくれた。
「本を借りてたんだけど、すっかり返しそびれてて…今更だけど返しに来たんだ。あれ?西川は?」
カウンターまでやって来た永井君はキョロキョロと回りを見渡した。
「弥生ちゃんは、今職員室…先生に呼ばれてて。あっ!ほ…本、預かるね!」
私が手を伸ばすと、「ん」と言いながら永井君は本を私の手の上に乗せた。
私は預かった本の番号をパソコンに入力して、返却の手続きをした。
「はい、返却完了したから大丈夫だよ?」
カウンター越しにその作業を見ていた永井君にそう答えると、返却し終えた彼は図書室を出て行くのだろうと予想していたが、
何故か日当たりの良い椅子に座るとこちらを向いた。