爽やか王子と内気少女
永井君はいつもみたいに気さくに話すけど、いつもより顔が固い気がする。
「私は放送室へ…放送部に入る事になったから部活を」
「放送部」と言うと永井君からは笑顔が消えて、真面目な顔になった。
「放送部の江角、休み時間のどうなったの?」
まっすぐ私に目が向けられた。
「あれは、江角君が言葉を間違えてて、放送部は廃部になりそうだったんで私を勧誘したんだよ。あんな大騒ぎしたら皆驚くよね」
「そっか…」
永井君はホッとしたように声も顔も和らげた。
「……あのね、永井君…」
私は足を踏み出して永井君の居る窓まで歩いて行った。
「これは私の個人的な話だけど聞いてほしいんだ…」