永遠の星空
「ちょっと、待ってや~」

「キャッ!」

茉莉は、急に腕をつかまれ、
びっくりして立ち止まった。

「あ、ゴメンな。そんなつもりやないんやけど。
 ・・・ちょっと、聞きたいことあんねんけど、
あん時、なんでオレんとこ来たんや?」

「・・・」

「通り道でもなさそうやし、
 第一、あんなとこ
 一人でくるようなとこちゃうやろ?」


「・・・い、痛いよ・・・。」


茉莉はまだ腕をつかまれたままだった。


「あ、ゴメン。で、なんでなん?」

「・・・酔い覚ましに散歩してたら、
 あなたの声が聞こえてきたから。」

「それだけ?」

「・・・もう帰らなきゃ。」

「あ、急にこんなん聞いてしもて、ごめんな。
 でもな、一度あんたとじっくり話がしたいねん。
 もう一度あんたに会いたいねん。
 会うて、いろんな話をしたいねんけど、いいかな?
 明日、ココで待っとる。あんたが来るの、待っとる。」

「でも・・・。」

「この近くに住んどるん?」


茉莉は下を向いて、首を横に振った。


「やったら、なんでここに・・・?」

「会社が近いの。」

「会社は何時に終わるん?」

「5時半です。」

「じゃあ、その時間からココで待っとる。
 来てくれんでも、待っとから。」

「・・・」

「そやな。急にそんなん言われても、びっくりするわな。
 でも、どうして、オレのそばに来たんか、知りたい。
 じっくりいろんな話がしたいんや。」

「・・・」

「絶対待ってるから!
 あ、オレ、雅大っていうんや!」

茉莉は怖くなり、その場を去った。


「絶対来てや!待ってるから!」


背中越しから雅大の声が聞こえた。


―私、なんで、あの人のそばに行ったんだろう・・・
 なんで、すぐに逃げ出さなかったんだろう・・・
 どうして、正直に答えてしまったんだろう・・・


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