未来観測
学校から家へと帰宅し、寛人を待つ

もう何度も寛人が家に来る機会はあったのに
何だか今日は少しだけ緊張していた

あたしの心を表すかのように外はどしゃ降りで
それと同時にあたしの心も重くなるばかり。



何もなかったように。
昨日のことは忘れよう。
そう自分に言い聞かせる。

きっと寛人もあたしがいつも通り振舞えば
安心してくれるに違いない


そんなことを悶々と考えていると
待っていましたと言わんばかりのタイミングで、玄関のベルが鳴った


「は~い」


何もなかったように・・・
何もなかったように。
何度も何度も頭に言い聞かせた言葉を念じながら、笑顔で玄関の扉を開けると

そこには見事な仏頂面をした寛人の姿があった

傘を忘れたのか
それともわざとさしてこなかったのか、それは分からないけれど。
彼の身体はすっかりびしょぬれだった

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