Morning moon
あれはもう一昨年の夏。

触手に襲われた理華を休ませてる間に、先輩がさっと渡してくれたんだ。

「だってさ、教えるつもりがなければ紙なんて用意しないよ。今時みんな赤外線じゃん?」

考えてみれば不自然なんだ。

その時は舞い上がってそこまで考えなかったけど、こうして指摘されると、どうしてなんだろう?

「先輩のことは置いといて、とにかく一度行ってみたいんだ。」

奏美は疑問を閉じ込めて言いきった。




理華はマネージャーの仕事があるので、奏美は一人で大学のキャンパスに足を踏み入れた。

同じ敷地内なのに、空気が違う。

高校とは違う自由な感じ。

それと大人の匂い――――

かすかに煙草と香水の匂いが漂っている気がした。
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