Morning moon
いよいよ明日に迫った結婚式。

奏美が自宅で過ごす最後の日。

家族水入らずでいられるように、沙欄は一足先に魔法界へ戻っていた。

夕食の後、奏美が改まって挨拶をする。

「お父さん、お母さん、今まで本当にありがとう。」

お母さんは、もう涙ぐんでいた。
声が出せないお母さんに変わってお父さんが答えた。

「奏美、どこに行っても私の娘だ。それに近所に住むんだから、そんな湿っぽい挨拶はやめてくれよ。」

「そうだね。でもさ一応やっておきたかったの。」

何も変わらない食卓

明日から新しい生活が始まる実感なんて全然ない

いつもと同じように自分の部屋へ戻る

そしていつもと同じように眠った。
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