フッてくれて有り難う【季節短編】
だんだん憂鬱な私に比べて、自転車置き場の前の紫陽花たちはにこにこしながら雨を喜んでいるかのようだ。
なんでそんなに雨が嬉しいの?
私はそんなふうに問い詰めてみたかった。
雨なんて何もいい事ないよ。
その時、気づいた。
「そう言えば今、梅雨だ」
最近ずっと雨が続いてたのに今日は降ってなかったもんね。
振るのは当然か。
でも……
「もうちょっと耐えてよ…」
せめて、私があいつに伝えるまで。