Stylus
閣下『お前は自分自身のことも理解出来ていない。いいか、ひとつ、いいことを教えてやろう。人間は科学だ。人間は科学を造り、科学は人間を造った。科学によれば、行動・心理ともに思考によって決まり、思考は具現化するとなる。つまり、目標に対してどれだけ理論的に考えたかが目標を達成出来るかのポイントになり、その過程が科学なのだ。これを飛躍し、対人関係に論理展開する。それは目に見えない力となる、気とかオーラとか時には心眼とか、最近では対人力と言う名前で目に見えない力としてこのように古来より呼ばれているが、当社では、結社以来、これを『心力』と呼び、これについて世界で唯一研究している研究所なのだ。人間能力改造研究所と言う名前もそこに由来しておるのだ。安田くん、わかるかな?君の人生目標は夢ではない。目的なのだ。君の目的は当社と契約すれば達成されたも同然なのだ。まずは、自分自身の思考をこの1週間でよくまとめることだ。』

それだけ言うと閣下は『また来る』とだけ言いさっさと帰って行った。



俺は、呆然と立ち尽くし、何が起きたのかを、もう一度、最初から、高橋と飲んだ夜から遡り、思い出してみた。


あの日、あの時、あの場所で、何が起きていたのかを・・・
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